a long vacation

書かれた内容はすべてフィクションです

われわれのルーツをたどる・自己複製子

 

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チンパンジーは、われわれと遺伝情報の99.7パーセントを共有している。

 

 

 

 

 

 

 

・われわれは何のために生まれたのか?

 

・なぜ何もないではなく、何かがあるのか?

 

・われわれとはいったい何なのか?

 

 

 

 

 

厨二病御用達のこういった類の問いは、答えを与えることが非常に難しい。

 

「1+1は?」のように、小さな子どもでもはっきり答えがわかるような易しい問いではないし、抽象的で、「○○的な観点から見るべきだ」ということが明らかではないからだ。

たとえば、「1+1は?」だったら、実際に足して計算してもいい。リンゴを使って説明してもいい。「数学的な観点から見るべきだ」ということが明らかな問いである。

 

しかし、上のような問いは、さまざまな学問が、さまざまな観点から見ることができる。

そしてそれゆえに、さまざまなかたちで答えが見つけられてきた。

いや、「考えられてきた」と言うべきか。

 

たとえば、1番上の「われわれは何のために生まれたのか?」という問いには、今なお思想史にその名を残す大哲学者、イマヌエル・カントが答えを見つけた。

 

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カントが見つけた答えはこうだ。

 

「生きる意味を問い続けること、それ自体が生きる意味である」

 

「このために生まれた」というような「生きる意味」は本質的にはないかもしれないが、「生きる意味を問い続ける」ということは、人間に与えられた峻厳な課題であるとカントは考えた。自殺することは、この崇高な義務から逃げることだ。だから自殺はいけませんよとカントは続けている。

 

皆さんはどう思っただろう?

ちなみに俺は考えに考え抜いた結果、明確な答えが得られなかったので、最終的には「うるせェ!!!!!生きろ!!!!!!!!!!(ドン)」とルフィみたいになってしまった。

 

 

この答えは個人的には屁理屈感があって好きではないが、偉大な洞察であるとは思う。実際に、カントの哲学に命を救われたという人間もいる。

 

 

カントは見事に、答えを与えることが難しい「われわれは何のために生まれたのか」という問いに対して「哲学的な観点から」答えを与えることに成功した。

願わくば俺も追従したい。カントのように哲学的な問いに対して偉大な洞察を披露し、多くの人々から褒められたい。

 

そして巨乳美女とイチャイチャしたい。

 

 

 

そうやってああでもないこうでもないと試行錯誤しているうちに、あることに気がついた。

 

 

われわれは、われわれのことについて、あまりにも知らなすぎる。

 

 

そもそもの情報が足りなかったのだ。自分たちに対するメタ認知が足りていなかった。

 

 

よって今回は、先人たちの文献や研究を引用し、「化学的な観点から」、われわれのルーツに迫っていきたいと思う。

 

 

 

 

 

生命の旅

 

 

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はじまりは、3〜40億年前の原始の海。そこは巨大なスープであった。無数の原子が漂い、時にはぶつかり合って化学反応を起こし、そしてより安定した分子になった。

もともと地球には、その時点で水、アンモニア二酸化炭素、メタンなどの単純化合物が存在した。これらは紫外線や稲妻などのエネルギーによって「原始のスープ」内の分子と化学反応を起こし、永遠とも呼べる時の中で、さらに数多の化合物が生まれていった。

 

生命誕生以前の地球を模したフラスコの中で実験を行った際にも、その「数多の化合物」は生まれたのだが、その中で特筆すべきものがいくつか生まれた。

 

プリンやピリミジンなどの有機物である。これらは、遺伝物質DNAの構成要素だ。

 

もちろん「原始のスープ」でも、これと似たような過程が起こったと考えられる。単純な有機物たちが生成され、それらは紫外線などの影響を受けて、だんだん大きな有機分子になっていった。

 

そうしてよどみに浮かぶ数多の泡沫分子がかつ消え、かつ結びて、久しくとゞまりたるためしがなかった(方丈記)ところに、ある一つの特質を持った有機分子が生まれた。

 

 

自己複製子である。

 

 

見かけ上はほかの分子とあまり変わりがなかったかもしれない。しかし、彼らは他の分子と一線を画す、ある明確な特質を有していた。自分のコピーを作ることができることだ。

 

自己複製子ができる確率はものすごく低い。だから、原始のスープの中で、「たまたま偶然」自己複製子が誕生した、という科学者たちの見解に対して、「偶然と呼ぶにはあまりにも出来すぎだ」と、神の存在を主張する人々も存在する。

 

しかし、「ものすごく低い確率」「できるわけがない」というのは、あくまでわれわれの尺度で見た場合である。人間の寿命は70年から80年しかないが、分子たちは数十億年もの時間の余裕があった。

そして、自己複製子はひとつだけ生まれればよかった。

他の分子が安定した形態を保持しつつ残るためには、たくさん数がいなければならないので、そのための豊かな環境条件やエネルギーが必要である。

しかし、自己複製子はひとたび生まれてしまえば、材料のあるところで自ら無限に増殖する。

 

1つ自己複製子があるとする。彼は材料を見つけ、2つになる。するとその自己複製子は1つずつ2倍になるため4つになる。4つが2倍になると8つになる。8つが2倍になると・・・というように、彼らは簡単に増えてしまえるのだ。

 

実のところ、われわれの遺伝物質であるDNAが、地球上に誕生した最初の自己複製子であったかどうかはわからない。

 

他にも自己複製子が生まれていて、その中でDNAが生存競争に打ち勝ったから今があるのか、有力なライバルである他の自己複製子が誕生する前に、DNAが圧倒的なスピードで他の分子に差をつけて地球上を覆い尽くしたのか。

 

いずれにせよ、わかっていることがひとつだけある。

 

生まれた自己複製子たちは、ほかの分子たちに圧倒的な差をつけて生存競争を生き抜くことができた。そして、その末裔こそが、いまのわれわれなのである。

 

こうして自らのコピーをつくることによって、原始のスープの覇者となった自己複製子だが、どうしても避けて通れない事象が発生した。

それが、自らを完全にコピーできないときがあるということだ。

ゲームと同じで、自己複製子の複製機構も完全ではないのだ。時折バグが発生する。われわれの世界では、この類のバグを指して突然変異と呼んだりする。

 

 

しかし、このバグがわれわれの運命を決定付けることになる。

 

それが、1代目の誤りなら大した差はなかった。

たとえば親→子と複製される過程で子が2人でき、そのうちの一方(子A)は親の完全なコピーだが、バグの末突然変異が起き、もう一方の子の方(子B)は子Aより少しコピーを多く作れる能力を有した。それなら大した差はない。

しかし、バグは蓄積されていくのだ。

子Bの子孫は、バグによって生まれた「より少しコピーを多く作れる」という能力を受け継いでいるので、世代を経るごとに、子Aの子孫よりもその数を増やしていくことになる。そして、子Aの血脈は淘汰されていった。

例えるなら無限1UP状態か?

 

いや違うわ。適切じゃなかったわ。やめとくわ。

 

 

 

自己複製子たちは、自己複製子vsその他の分子、という戦いで勝利を収めたのち、優れた形質をもつ自己複製子vs劣った形質をもつ自己複製子、という対立の図式で、意識せずとも内紛を始めたのである。

 

こうした淘汰を経て、いくつかの形質をもつ自己複製子だけが生き残った。

 

 

・寿命が長い

 

・複製が正確である

 

・より多く複製できる

 

 

 

これらの形質は、より自己複製と生存に有利だ。

そして、われわれはその子孫だ。

 

 

もう1つ大事なことを言っておかなければならない。

バグが起きるのは能力だけではないということだ。たとえば、一番初めの自己複製子は素っ裸だったろう。すなわち、原始のスープに、有機分子が漂っているだけだったろう。

しかしあるときある個体が複製に失敗し、有機分子の外側に、箱のような機構を伴った自己複製子ができたとする。

 

 

ん・・・?????

 

 

箱のような機構・・・?????????

 

 

うっ・・・頭が・・・!??!?!?!?!?!?

 

 

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そう。みなさんご存知、細胞である。

 

 

今存在している細胞はもっと複雑な機構だが、DNAを有した袋である、中心部分の「核」がこれとまったく同じ構造をしている。

 

 

もちろん、突然変異という伝達バグは自己複製と生存にプラスになるものだけではなく、マイナスになるものも発生した。

たとえば「誕生した瞬間に岩に激突して死のう!」というクレイジーな形質を有した自己複製子も過去に作られた可能性があるが、そんな形質は真っ先に淘汰され、遺伝子が残らなかった。すなわち死んでいったのである。この繰り返しが進化だ。

 

 

進化という言葉を使うと、たいていの場合、あたかもキリンが自ら望んで首を長くしたかのようなニュアンスを伴うが、実際はそうではない。

 

進化というのは自然淘汰だ。それらは能動的ではない。偶然たまたま生存と自己複製に有利な形質を有した個体が生き残り、有さない個体は死んだ。

 

それだけである。それの繰り返しで、今のわれわれが生まれた。

 

 

現在のわれわれに結びついている突然変異、バグの例を挙げよう。

 

 

 

・大きいと生存に有利だよね!偶然そういう似た自己複製子同士が結びつき、より大きな個体を形成するようになったよ!→多細胞生物

 

・漂っている分子を見つけるより、自分でものを分子レベルまで分解して、そこからエネルギーを取り入れられる方が生存にも自己複製にも有利だよね!偶然そういう機構ができたよ!→食事

 

・周り見えたほうが生存に有利だよね!偶然そういう→目ができる

 

・周りの状況判断して合理的な行動取れる方が生存に有利だよね!偶然そう→心ができる

 

・周りの音聴けた方が生存に有利だよね!偶然→耳ができる

 

・2個の個体の遺伝子を混ぜて個体を形成するほうがお互いの形質を受け継ぎやすいし生存に有利な変異もしやすいかも!偶→オスとメス

 

 

 

 

・・・とまあざっと書けるだけでもこれくらいある。

 

 

 

われわれは生存のための機械のようなものである。われわれを操っている本体はDNAなのだ。

理性も、感情も、あとから生まれた要素にすぎない。

 

 

そして、その事実と向き合うために、次回からは進化という観点で、われわれの行動や心理を解き明かすシリーズをやりたい。(不定期)

 

われわれは、その事実と向き合うことで・・・

 

 

 

 

 

 

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あ!!!!!!!!!!!!!!!!!!虹だ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

きれ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

われわれのルーツをたどる・自己複製子